知的「しょうがい」のある子の親の立場から、すべての心ある「ふくし」関係者、「きょういく」関係者、そして市民の皆さんに呼びかけます。
みなさんすでにご承知の通り、最近「しょうがい」のある人に対する「虐待事件」が全国各地で頻発しております。
滋賀県の「サングループ事件」、茨城県の「水戸パッケージ事件」、愛知県の「名古屋市立南養護学校体罰事件」、東京都青梅市の「しろまえ児童学園傷害事件」、そして福島県のとんでもない「白河育成園虐待事件」などの「人権に関わる事件が頻発する事態（厚生省)｣は､まさに心ある市民、ふくし関係者の「怒り」をかい、施設利用者とその家族の憤激をかっています。
こうした「事件報道」や「被害当事者の訴え」をめにするとき、その「福祉・教育」の名の下に行われた残虐・無残な「虐待」に、絶望的な人間不信と暗い怒りを感じてしまうのは私たちだけでしょうか。
やり場のない、持って行き場のない、言い知れぬ人としての怒りに駆られている「人権擁護」の立場を正しく取る人々が、数多くいらっしゃることと思います。
「利用する当事者主体の施設」、「施設利用者の人権の擁護」が語られて久しいのに、「福祉の現場」で、本来ならば、「しょうがい」のある人の権利を一番近くで護るべき「施設経営者」「施設職員」「養護教員」「行政官」の手によって、虐待事件、暴力事件、財産横領事件が次々と引き起こされているのです。
「法の下の平等」は「施設利用者」には適用されないとでもいうのでしょうか！
一体、何故こんなことが続いて起こるのでしょうか！！
「虐待事件」「人権侵害事件」の本質とは、一体、何なのでしょうか！！
この問題は、個別事件の加害者の犯罪的資質に起因する単独の犯罪なのでしょうか。
いいえ、私たちは現行の「制度」がもたらした構造的な犯罪だと思います。
問題は、いまだに前近代的な「『しょうがいしゃ』は、保護し、収容するものだ」という発想、地域社会から「隔離収容措置し行政処分すれば、社会一般は困らない」という発想、それで「しょうがい当事者の人権が損なわれても仕方がない」という発想にあると思うのです。
こうした差別と偏見に満ちた意識・発想を変えていかない限り、「ノーマライゼーション社会」など「絵に描いた餅」といわなければなりません。
私たちは札幌市に対して「福祉の街づくりは『心のバリアフリー』から」と、「意見書」を提出しました。
「しょうがい」のあるひともない人とも差別と偏見を克服して共に生きる、暮らせる地域こそが「福祉の街」なのです。
人権擁護の啓発と、各種の苦情処理の的確敏速な対応が望まれているのです。
行政の側も、「福祉」を名乗る「企業」や「施設」のあまりにも悪辣な所業、「補助金」詐欺の出鱈目経営や、虐待の相次ぐ暴露に「重い腰」を上げ、来年度からの事業として「障害者の明るいくらし」促進事業の中に、新規事業「障害者１１０番」の創設を言い出しました。きっとこれまでは「障害者の真っ暗なくらし」を促進していたのでしょう。
しかし、構造的に問題がある体系をそのままにして、行政がシステムを上乗せして事足りるものなのでしょうか。
そうしたことでは「根深い問題」は解決しないと思います。
だからこそ、今、全国各地で
福祉サービス利用者の人権擁護のための第三者機関「人権オンブズマン」が結成され、 施設利用者の人権擁護の活動を開始し始めているのです。
全国の先進地に学び、高齢の方ゃ「しょうがい」のある人、施設利用者の人権を護る地域ふくしの開かれた発展を市民の手で作りだし、施設利用に対する当事者と家族の「暗黒の不安」を取り除く「オンブズマン」のネツトワークをこそ創設しましょう。
北海道内でも、市民や施設職員自らの手による、地域ごとだったり、施設単位での「オンブズマン」制度導入の新しい動きがあります。
そうした「新しい「ふくし」発展の真剣な動き」、先進的な施設経営者と施設職員の新しい自己改革の「苦闘」を個々に孤立させてはいけません。
施設利用者の家族も、教え子を施設に送り出した教員も、そして、地域「ふくし」の未来に責任を持つ市民の一人一人も、皆で、地域「ふくし」をネットワークで繋ぎましょう。
地域「ふくし」の充実は、その地域の文化の指標です。
施設は、地域に開かれ、文化の発信の場とならなければなりません。
高齢の方も、「しょうがい」のある人も安心して利用できる「ふくし」サービスを提供する施設でなければなりません。
「ふくし」サービスのあり方と利用を学び、利用当事者と家族の不安を取り除く努力を、市民自らの手で作り上げましょう。
国会が政府機関に対する国民の苦情を処理するために任命した官職名です。
日本では１９９１年に、東京都中野区の「福祉オンブズマン」。神奈川県川崎市の「市民オンブズマン」
最近では「えひめ福祉オンブズネット｣｢湘南ふくしネットワーク」が発足しています。
簡単に言うと、ある問題について、苦情を受けつけ、その是正を勧告・提言する人と言えます。