しかし、「拙く見える」「弱く、無いかのように見える」それはあくまでも「健常」とされる私たちの問題である。
たとへ、どんなに「しょうがい」が重いとされる人であっても、「人権」はある。
生まれながらに、「生存権」「幸福追求権」つまり「人権」はあるのである。
「法の下の平等」はあるのである。

「人としての尊厳」を、蹂躪する「優生思想」「生産力至上主義」こそ、ノーマライゼーションの敵である。
「しょうがい」のあるひともない人も等しく、平等に生活できる地域こそ
真のノーマライゼーション社会である。
私たちの社会は、そのノーマライゼーション社会であるとされているのだ。
今こそ、「しょうがい」のある人の「人権」を正しく擁護する決意が問われている。
ノーマライゼーションからインクルージョンへ
私の息子やその仲間達の「人権」を擁護するのは、私たち周りから関わる人間の責務である。

ここに掲載する文書は、1993年に当地において調査研究された「報告書」の全文である。
いささか発行は古いが、現在に至るも、ここに明らかにされたことは、何一つ解決されていない。
今なお、知的「しょうがい」のある人の多くが、当事者としての「自己決定」の意志を踏みにじられ
「隔離収容施設に措置・行政処分」されている。
彼らに「人権」はなきかのような「処遇」が続いている。

「施設における人権」などと、本来、「人権擁護」「援護」を目的に位置づけられた「生活施設」での劣悪な「劣等処遇」が「人権無視の暴虐」でなくて、何であるのか。
読者にあっては、ご一読、よくよく熟慮し、 来るべき「ふくし」の未来「共生社会」を志向していただきたい 。

1998年2月12日

知的障害者擁護の打ち合せ研究