自閉症の少女、真理子の世界---プロローグ♪
「うっ！」と、
顔をしかめたかと思うとおもむろにパンツの中に手を入れる。
握った瞬間の感触に満足の笑みを浮かべ、
呆気に取られている親などそっちのけでウンチを取り出し
思いっきり床に叩き付ける。
あわてて手を取り押さえるが、もう力は親に負けない。
必死でウンチから引き離そうとあがいてみても早、既に遅く、
足でウンチを踏みつぶし床に引き伸ばしている。
大声で職員を呼んでも、皆の奇声にかき消されたか、
忙しくて手が回らないのか、毎度の事と思われたか、
マイクの故障か、誰も来ない。
力尽き手を放すと今度はウンチを手に取って天井めがけて投げ付ける。
手に付いたウンチの残りは髪の毛に擦り付ける。
糞まみれになった服は実に器用に素早く脱ぎ捨てる。
そのうち 騒ぎに気付いて 皆ぞろぞろとやってくる。
大掃除は
クレゾール担当とシャワー担当と床掃除担当と、
着替え探し担当に分かれて、てんやわんや。
シャワー担当職員は真理子のお気に入りの男の「先生」なのだが、
ウンチの後は興奮して彼の眼鏡を糞まみれの手で掴み取り、
汚れを洗い流そうとするのを邪魔する。
そんなことが重なれば普段おとなしい職員だって頭に来て
親が見ている前で往復びんたを食らわせる。
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