高機能自閉症あるいはアスペルガー症候群といえる人 Wed, 26 Mar 1997 sin
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> ドナ・ウィリアムズの『自閉症だったわたしへ』について 「独善的だ」なんてとんでもない。本はいろいろな読まれかたをされる ことに意味があると思います。 最近、私のホームページを見てくれた日本自閉症協会の広報部員のＦさんから メールがあり、機関誌「心を開く」25号で高機能自閉症を取り上げた ことを教えていただき、その機関誌を送っていただけることになりました。 以下、私がＦさんに書いた返信から引用です。参考までに。 > 高機能自閉症について、認識している人はとても少ないと思います。 > 精神科医に相談しても神経症といわれるだけです。 > はなはだしくは分裂症と誤診されるようなことがなければいいのですが。 > > 普通の社会に行き場をなくして、「ひきこもり」に陥っていたり、カルト教団に > はいっていくような人たちも、高機能自閉症と関係していることが多いのでは > ないかと、私は思っています。 > その一方で、何らかの得意分野をみいだして、社会的にも成功して活躍している > 人たちの中にも、高機能自閉症あるいはアスペルガー症候群といえる人は > ずいぶんいるのではと思います。米国のテンプル・グランディンという高機能 > 自閉症の女性の書いた「我、自閉症に生まれて」（学習研究社）という本を読 > みました。彼女は、食用牛の処理機器の設計という専門分野で成功しています。 > 私は彼女の例が決してめずらしいとは思いません。「めずらしい」とすれば、 > 子供のときに「自閉症」だと診断されて、その自覚を持って生きてきたという > ことくらいだと思います。その本の帯には「自閉症者が書いた世界ではじめて > の本」などというような宣伝文句がありましたが、これこそ自閉症者への偏見 > （「自閉症者には本なんか書けないだろう」）であるように思います。 > 「自閉症」だなどと診断されることも自覚することもなく、自分と他人との > 違いを強烈に意識しながら、あるいはコンプレックスをバネにして、こだわり > をもったことを徹底的に追求することで成功している人は多いと私は思います。 > 小説家・漫画家など本を書くのが仕事の人にも、当然そのような人は昔から > いたでしょう。 > （でも、テンプル・グランディンの本の内容はとても勉強になりました。 > 彼女と私はとても似ています。子供時代、自分がなんであんなことをしたの > だろうということの多くが、この本によって理解できるようになりました。） > > 私はコンピュータプログラマーとして仕事をしてきているのですが、 > 今後は、視覚・聴覚の障害者や自閉症者などコミュニケーションの障害を持つ > 人たちが、パソコンなどの機器を利用することで可能性を広げていくために > 活動していきたいと思っています。「パソコンボランティア」ということを > 自分の「仕事」としてやっていきたいということです。 > > なにかと協力し合えることができればうれしく思います。 |
自閉症だったわたしへ（ドナ・ウィリアムズ） sio
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自閉症だったわたしへ（ドナ・ウィリアムズ） これはふたつの闘いの物語ではあるのですが、 私が気になるのは、 【「情緒障害の」人がやるのとまったく同じように。】 と言う個所なのです。 真理子は、自分の手、腕、を噛んだり、足、顔、をつねったりの 自傷がひどく、舌をかみ切ったり、頭突きをしたり、 ・・・で、精神遅滞でもあるのですが、 この言葉にはどうにも納得がゆきません。 sinさんはどうでしょうか。 「自閉症者が書いた世界ではじめての本」 などというような宣伝文句がありましたが、 これこそ自閉症者への偏見「自閉症者には本なんか書けないだろう」 であるように思います、と言うsinさんなら 分かってもらえると思います。 本はいろいろな読まれ方をされることに意味があると思います、 との意見は全く其の通りだと思います。 |
Re:自閉症だったわたしへ Fri, 04 Apr 1997 sin
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> 【「情緒障害の」人がやるのとまったく同じように。】 > この言葉にはどうにも納得がゆきません。 自閉症者はだいたい情緒障害でもあるでしょう。私の子供の頃も今も情緒不安定 には悩んでいることです。すみません何が納得がいかない記述なのか、よくわか りません。 先日私は「アスペの会」から紹介してもらった、東海大学病院精神科の 小林隆児先生に自分のことを診断してもらいました。やはりアスペルガー 症候群に間違いないだろうということでした。そしてアスペルガー症候群という のは自閉症の知能の高い人たちのことだと、先生は説明してくれました。 今『自閉症とアスペルガー症候群』（ウタ・フリス編著、東京書籍）という本を 読んでいます。アスペルガーの論文を含めて興味深い論文や症例が多数収録され ています。もしまだお読みでなければ、ぜひお勧めです。面白いです。 自閉症的な傾向は遺伝するもののようだということがわかりました。私の父方の 家系の人々はほとんどいくらか自閉症的な傾向をもっています。 （みんな風変わりな人たちなのです）そして、知恵後れで自閉症（はっきりそう 聞いたことはないのですが、会った時の印象ではそうに違いないと思います）の いとこの女の子がいました。（数年前に可哀相に死んでしまってます）また 脳性麻痺で知恵後れのいとこもいますが、もしかしたら自閉症でもあるかもしれ ません。 私の父はとても孤独な学者です。東北大学でインド哲学の教授でした（今は定年 退職して、自宅で研究を続けていますが）学内では孤立していてそのことで 苦しんでいました。 私には姉と妹がいます。姉と電話で自分のアスペルガー症候群のことを 話したのですが、姉も、子供時代は学校内で孤立していて、そしていまも まるで他の世間一般の人とは違うと、姉も私もとても似ているということを 確認しました。 ただ、姉は結婚して子供もふたり（男の子と女の子）います。男の子のほうが、 とても自分の子供時代に似ていて、手におえない、どう育てたらいいのだろう とちょっと悩んでいました。 どうも、自閉症の知能の高いのがアスペルガー症候群というのは、逆であって 自閉症的傾向（アスペルガー症候群）の遺伝子を持っていて、生まれるとき脳の 損傷をうけたりすると、精神遅滞をともなう「典型的な」自閉症になるという説 が本当なのではないかと私は思います。 最近、私のホームページを見てくれた日本自閉症協会の広報部員の Ｆさんからメールがあって、3月14日発刊の機関誌「心を開く」 25号で高機能自閉症を取り上げたことを教えていただき、その機関誌を 送っていただきました。Ｆさんは自閉症の子供の父親です。Ｆさん自身も 「本が好きで自分の世界に閉じこもるタイプでしたが、息子のことで社会とのつ ながりが、ある程度自由に出来るようになりました。その意味で息子に育てられ たと感謝しております。」と私へのメールで書いています。 アスペルガー症候群（あるいは高機能自閉症）とはっきり診断できるかはともか くとして、この傾向をもっている人というのは社会の中でかなりの割合でいるの だと思います。そして、学者や芸術家はもとより、世の中で人とは違った目立っ た活動をしている有名な人に、特にこの傾向をもった人が多いと思います。 アスペルガー症候群の人というのは、本能的にまわりの人に合わせるという能力 を欠いた人たちです。このことは、多くの苦しみをうみますが、また人とは違っ たことをして成功するという可能性ともなります。私は「協調性」の価値を強調 する最近はやりの「ＥＱ（心の知能指数）」という言葉が嫌いです。アスペル ガー症候群の人たちは、「協調性」という点ではどんなに努力しても絶対に普通 の人にはかなわないのです。しかし、アスペルガー症候群の人たちは、他の人に はできないことができるという可能性では恵まれた人たちでもあるのです。昔か ら「狂気を欠いた天才はいない」と言われていました。その「狂気」というのは 自閉症のことだろう、とアスペルガー氏は書いています。 私のＨＰでも、そのような自閉症（的傾向）のプラスの面を積極的にアピールし たいと思います。その上でマイナスの面の問題点を論じたいと思います。 |
情緒障害の人がやるのとまったく同じ sio
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自閉症だったわたしへ（ドナ・ウィリアムズ） 【「情緒障害の」人がやるのとまったく同じように。】 自閉症は、情緒障害とは違う別のもの、というニュアンスが 感じられるのです。 別には違いないのですが、そこには、 自閉症は、情緒障害程には重くない、というようなニュアンスが、 感じられて仕方ないのです。 自閉症者はだいたい情緒障害である、とは思うのですが、 何か差別的な響きがしてならないのです。 ただ、ドナは事実を事実として指摘し過ぎるきらいが有りますので、 これもその一つで気にすることは無いのでしょうが、 ちょっと、こぼしてみただけですので、心配御無用！ |
RE:何か差別的な響きが Sun, 6 Apr 1997 sin
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ドナは自閉症について完全に知った上で本を書いたわけではありません。自閉症
の低機能のものと高機能のものとの違いとその関連性など、専門家でさえまだ充分
わかっていないことです。ドナがその時点で自分よりもより「重い」、知的ハンデ
ィを伴った（それゆえに情緒のコントロールもより難しい）自閉症についてあまり
理解がなかったとして、責められるべきことではないと思います。 『自閉症だった私へ』は、「自閉症」という言葉にめぐりあい自分がそうだと知 り、それを確認するために、出版して多くの読者を得るなどということは思いもせ ずに書き綴ったものです。それが出版されることになって世界的なベストセラーに なったわけですが、それは偶然でもあるし、とても必然的でもあったと思います。 出版関係者で、あの原稿を一読してそれが大ベストセラーになるものだと見抜けな いような人は転職するべきでしょう。彼女はまぎれもなく天才作家であり、彼女が 生み出したものは最高に美しい文学作品であると、私は彼女を賞賛したいと思いま す。その「美しさ」は、まったく作為のない彼女の心の真実を書いていることにあ ります。 アスペルガー症候群（「高機能自閉症」と同じだと考えます。ドナも私も含まれ ます）の人たちや、その傾向をもった人たち（世の中にかなりの割合でいると思い ます。たぶん、塩入さんもそうではないでしょうか）の性格として、細部にこだわ るあまり、本質を誤るという傾向（「木を見て森を見ず」という言葉がありますが ）があると思います。それは逆に、他の人が気づかない、木に隠された森というも のの本質を見抜くというプラスの面とも表裏一体のものだと思いますが、いずれに せよ、そのような傾向が自分にもあるということを私は意識してます。 |