障害という言葉について sio
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以前のお便りで「障害」という言葉について、
それは言葉を使う人の自由でいい
とのお返事をいただきましたが、
ＨＰ「じゃじゃ丸トンネル迷路」の
意見・論点という項で
私たちの子どもを取り巻く表現と用語：
「法律用語」と「役所用語」の誤訳と不適切表現について
と題して
札幌の岩渕進さんの投稿意見が掲載されております。
これによれば、
「不適切な表現」とは、
その表現・言葉を使う側が意図すると意図せざるとにかかわらずに、
受手が「アラ、嫌な言い方」と感ずる表現・言葉をいう、
とのことです。
言葉は、それを使う人の自由ではあっても、
それを受ける側がどう感じるか、
ということが大事なポイントであることを指摘しています。 「障害」を「しょうがい」と表記することには、 賛成は致しかねますが、 どのような言葉を使おうと、その言葉が表す実体が変わらない限り、 新たな言葉が新たな差別語になっていくでしょう。 痴呆・愚鈍・魯鈍→白痴→精神薄弱→知恵遅れ→精神遅滞→知的障害→？ というのが正にその実例ではないでしょうか。 ただし、「言葉から受ける誤解」を無くすための努力は必要だと思います。 誤解を受けている言葉の最たるものが「自閉症」であることは 我々のよく知るところです。 もっと難しい言葉で大変な病気、障害なのだなあと 思ってもらえるような名前に変えて欲しい、という人もいます。 私自身は「自閉症」は当たらずも遠からずと考えています。 これより適切な用語が有るとしたら、もう既に頭の良い人が 思い付いているはずだと思いますがねえ・・ 足の引っ張り合いではなく、 お互いの正しい理解を深めるための議論は大切だと考えます。 |
RE:言葉は使う人の自由か？ Thu, 7 Aug 1997 sin
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文字面の意味するところがあまりにも酷かったり非合理的なのは改めてい
くのは当然のことだと思います。「差別語だから」というのは違います。「精
神薄弱」という言葉は今でも使われていますが、廃止するべきだと思います。
知的障害者が「精神が薄弱」というのはそうではないでしょう。それから昔は
知的障害の重さによって軽愚、痴愚、白痴と分けられていたのですが、軽度、
中等度、重度、最重度と言ったほうが合理的で分かりやすい。 > 私自身は「自閉症」は当たらずも遠からずと考えています。 「アスペルガー症候群」というのはちゃんとした診断名になったのだからそれ みたいに「カナー症候群」といったらいいではないかと思うのですが、だめか な。私はアスペルガー症候群まで「自閉症」と呼ぶべきではないと思うけど 「自閉的」とか「自閉傾向」というのは認めてもいい。だけど、自閉症がそれ とはぜんぜんレベルが違うのだということは知られるべきです。 自閉症やそれに近い障害をひっくるめて「広汎性発達障害」というのでそうよ べばよいという人もいますが、「広汎性」ってよくわからない言葉です。 |
カナー症候群、良いと思います sio
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「アスペルガー症候群」と「カナー症候群」、
私も良いと思います。
アスペルガータイプとかカナータイプという表現も
あるようですね。
アスペルガー症候群まで「自閉症」と呼ぶべきかは、
色々議論があり、医学の専門家レベルでも未解決の問題
のようですね。
「自閉的」とか「自閉傾向」というのは教育関係者の呼び方で、
医者が「自閉症」と診断は出来るけれど、
教育者が診断を下すわけにはいかないので「自閉傾向」と
言っているらしいです。
岩渕進さんの投稿意見で、
「差別語だから」改める、というのではなく、
非合理的な用語は改めていくべきとのこと、
そのとおりですね。
ただ、非合理的とは言えない用語でも、
差別的ニュアンスで受け取られてしまうことがあり、
これは言葉の問題ではなく差別する人間の心の問題なのですね。
岩渕進さんと前後して、用語に関して
私のＨＰの修正を求めてきた人がいたものですから、
sinさんにも意見を伺った訳なのでした。
私の以前のＨＰで、
「自閉症などの精神障害者にご理解をお願いします。」
と書いてあったのですが、精神障害者という表現に対して、
これでは、精神分裂病、躁鬱病、心身症、人格障害
などと受け取られる、という指摘なのです。 sinさんの以前のＨＰでも、 「私のようなものを精神障害者と呼ぶがよい、 人格障害者と呼ぶがよい。・・・」 となっており、 精神障害者という言葉への否定的ニュアンスが 感じられるのですが・・・ 「精神障害者」とは、身体的に対して、精神的の意味であり、 一般的な総称としての表現で用いたのではありますが、 要望の趣旨を私も了解し、私の意図と異なる受け取り方をされる ことを避けるため、ＨＰを修正したという訳です。 |
Re:精神障害者という言葉への否定的ニュアンス Wed, 13 Aug 1997 sin
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障害者の区分は、福祉施策の上では身体障害者、知的障害者、精神障害者の３つに
なっていて、自閉症の多くは知的障害者として扱われているのではないかと思いま
すが、そこにはいろいろ問題が指摘されていますね。まず、高機能自閉症者が障害
者として認められていないこと。それから軽度精神遅滞の自閉症の場合、障害のた
いへんさにかかわらず障害の等級が低いこと。ですから、自閉症を精神障害者とし
ても積極的に認めるべきであると私は思います。
それを認めることに抵抗があるのは精神障害者に対する否定的なイメージ、偏見と
差別があるからではないでしょうか。
自閉症ははじめは精神分裂病の早期に発症したものと考えられていました。今では
それは否定されていますが、最近になって、高機能自閉症の軽症例とみなされてい
たアスペルガー症候群が、分裂病質人格障害と同一のものだという説がでてきまし
た。分裂病の陰性の症状が薄められたかたちであらわれている性格です。自閉症と
分裂病とはアスペルガー症候群を間に挟んでつながっているのだとも考えられま
す。「心の理論」説に関して言えば、心が読めないのが自閉症、過剰に心を読んで
しまって妄想や幻覚をきたすのが分裂病、その中間で不安定なのがアスペルガー症
候群であると。
このような考えは、『自閉症の心の世界――認知心理学からのアプローチ』（フラ
ンシス・ハッペ、星和書店）に紹介されています。最近の自閉症に関する学説がい
ろいろとりあげられている面白い本です。 最近出たテンプル・グランディンの『自閉症の才能開発――自閉症と天才をつなぐ 環』（学習研究社）も面白いです。グランディンは、アスペルガー型自閉症（また は高機能自閉症）の特質を持った人物として、アインシュタイン、ヴィトゲンシュ タイン、ゴッホ、ビル・ゲイツをあげています。ビル・ゲイツについては私も同業 者（？）であるし、彼について書かれている本を読んでずいぶんアスペルガー的だ なと感じていたのですが、そのことはすでに指摘されていたのでした（「タイム」 誌でテンプル・グランディンとビル・ゲイツとの共通性について取り上げられてい たらしい）。ゴッホのような芸術家が分裂病でなかったかということはよく言われ ていますが、むしろ自閉症圏なのではないかと見直されているわけです。 イギリスなど自閉症とアスペルガー症候群についての認識が進んでいる国を除く と、ほとんどの精神科医は高機能自閉症やアスペルガー症候群のことをあまり知り ません。そのためにそれらが分裂病と診断される例も多いといわれます。（アスペ の会の辻井先生なども指摘しています） もちろん間違いは正していくべきです し、私もそのことを知ったときは強くそう思ったのですが、でもそのときの私に分 裂病への偏見があったのではないかと反省しています。分裂病もアスペルガー症候 群も紙一重だしアインシュタインのような天才とも紙一重。みんなそうなんだから 優劣をつけるのは愚かなこと。 私のホームページ、今後はアスペルガー症候群のアピールに本腰を入れたいと思っ ています。「アスペルガー症候群は障害ではない」という考えも明確に出していき たい。アスペルガー症候群というのは遺伝的な性格傾向にすぎず、それが問題にな るのは学校教育をはじめとする皆が同じことをするのが強いられる社会との関係に おいてでしかないのだと。能力に違いのある少数派であるがために「障害」とされ ている点で色覚異常と似ていると思う。みんなが色盲であれば、だれも困りはしな いのに。（いろいろな「障害」とつくものにそれはいえることか） |
自閉症と分裂病 sio
| 自閉症と分裂病とはアスペルガー症候群を間に挟んで つながっていて、 心が読めないのが自閉症、 過剰に心を読んでしまって妄想や幻覚をきたすのが分裂病、 その中間で不安定なのがアスペルガー症候群であるとのこと、 本当かなあとも思いますが、面白い見方だとも思います。 『自閉症の心の世界』はちょっと専門的なのかなあ と思っていましたが、最近の学説がとりあげられている 面白い本とのこと、私も読んでみることにします。 『自閉症の才能開発』でアインシュタイン、ビル・ゲイツ のことを取上げていて、sinさんの持論と同じだなあ と思っていました。 アスペルガー症候群は障害ではなく、 社会との関係で能力の違いが問われてはいるが、 個性的な性格傾向にすぎないということですね。 本人でさえ知らない障害であれば障害とは言えない訳ですね。 |
HP移動とリニューアルのお知らせ Sun, 14 Sep 1997 sin
| 私のホームページの場所を移動しました。 内容も一新して、アスペルガー症候群をテーマにしたホームページ ということを明確にしてます。 |
分裂という言葉は誤解を受けやすい sio
| ホームページリニューアルオープンおめでとうございます！ アスペルガー症候群のアピールに本腰を入れた内容、 固いテーマを柔らかく噛み砕いての語り掛け 素晴らしい内容と思います。 高機能自閉症の軽症例とみなされていたアスペルガー症候群が、 分裂病質人格障害と同一のものだという説がでてきた との話しでしたが、 「分裂」という言葉は誤解を受けやすいと思うのですが 歴史的経緯もあり、難しいところですね。 医学の進歩で又どんな新説が出てくることか・・ でも、アスペルガー症候群は障害ではなく、個性なんだ！ ということですね。 |
Re: リニューアル オープンおめでとう ございます！ Tue, 16 Sep 1997 sin
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> 「分裂」という言葉は誤解を受けやすいと思うのですが 一応言葉は普及している用語を受け入れることにしました。 分裂病質（スキゾイド）などといわれているものはアスペルガー症候群の 成人の状態だろうという考えは元祖のハンス・アスペルガーももっていた みたいです。 > でも、アスペルガー症候群は障害ではなく、個性なんだ！ > ということですね。 いえ「障害ではない」ということは、言わないことにしました。アスペル ガー症候群といっても幅が広くて、かなりの困難をもっているものも含み ます。障害といえるかどうかは人それぞれです。障害といっても部分的な ものであるし、それは個性として尊重するべきものなんだということを主 張することにしました。 |